感想文

本とか映画とかゲームとか。ネタバレはしないようにしています。

スクランブル

スクランブル
若竹 七海

おすすめ平均
卵のように
混沌とした迷いはまるで卵がかきまぜられたようで

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この人の作品は、初めて読みました。

舞台は1980年、主人公は女子高の生徒である5人組。
高校から編入した彼女たちは「アウター」と呼ばれ、何かと言えば差別的な態度をとられてしまっています。
変な目で見られることも多々。

強がったり興味がないフリをしたり、「学校」という小さな社会を彼女たちなりのやり方で生きて行く日々。
物語の前半、十七歳の少女が校内で殺されるという事件が起こります。
彼女たちは、それぞれに推理を働かせ犯人を見つけようと知恵を絞る。

結局、犯人は誰なのか?
それは1995年、32歳になった彼女たちが出席する結婚式で明らかになってきます。

しかし、推理小説というよりは、高校生のほろ苦さが描かれているといった方が近いかも。
他のグループの目、先生の態度、少し乱暴な言葉遣い。
あぁわかるなーと思ったけれど、言葉はちょっと荒っぽすぎる気もしました。
1980年の高校生というとこんな感じだったのかな?
でも、95年になっても荒っぽさが抜けてないっていうのが気になった。
旧友と会って気分が当時に戻ったからという理由も考えられるけど、年月が経てば自然と雰囲気とか言葉遣いも変わっていったりするんじゃないかなぁと思いました。

2004/09/20 Mon | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > 若竹七海

蹴りたい背中

蹴りたい背中
綿矢 りさ

おすすめ平均
おじさんにはついていけないのかも
ありえない。
可愛い
むむっ
うーん・・・

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史上最年少、19歳での芥川受賞作。
同時受賞の「蛇にピアス(金原ひとみ)」に続いて読みました。

「蛇にピアス」の方は共感する部分なく読み終えてしまったけれど、こちらの方はイロイロと共感できました。
学校・クラスという小さな社会で生きる上での窮屈感やクラスメイトとの距離。
今考えれば何てことないと思えることでも、すごく重大なことに感じていた中学・高校時代。
主人公「ハツ」ほどではないとは言え、人の目を常に気にして、自分の中だけでの駆け引きを頻繁にしていたっけ・・・と思い出しました。
でも、『蹴りたい』気持ちの方は共感はできなかったなぁ。

「蛇にピアス」にしろ、この「蹴りたい背中」にしろ、若い人が書いた作品だねぇという気持ちが一番強く残った感じ。
でも、この作品には好きだと思える表現が割と多かったので、またいつか別の作品も読んでみたい気はしています。

2004/09/12 Sun | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > 綿矢りさ

ポプラの秋

ポプラの秋
湯本 香樹実

おすすめ平均
ほのぼのとした作品
天国への手紙
優しい
著者の観察眼を堪能
稀にみる一等級の作品

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ポプラ荘に住んでいた頃の大家さんが亡くなった。
そんな知らせで物語は幕を開けます。

主人公の「千秋」は当時7歳。
父が亡くなったばかりで、母は傷心中。
幼いながらにあれこれ考え、体調を崩してしまう千秋。
その後、なりゆきから、大家のおばあさんの部屋に通うようになるのです。
成長した女性が過去を振り返る形で描かれています。
文体こそ大人のものだけれど、視線は子供そのもの。
感じたことや考えたこと、父への想いがまっすぐに伝わってくる気がしました。

亡き父に宛てて書いていた手紙が途中何回か挿入されるのですが、これが何と言うか、胸に沁みるんです。
父に思いを馳せ、死について考える。
感じたままを書いた手紙。
グッときたり涙が出たりというのとは少し違って、静かだけれど心に響くという感じでした。

おばあさんとのやり取りも良かったなぁ。
ぷぷっと笑っちゃう場面があったりして。

そして、お葬式のシーンや最後の展開も好きです。
あの時間は、ちゃんと今の千秋に影響を及ぼした。
母の想いも伝わった。
こういう雰囲気は、とても好み。
この人の作品は初めて読んだのだけど、けっこう好きかもしれないなー。
難しすぎる言葉は使わずに、ちゃんと情景を思い浮かばせてくれる。
他のも読んでみたいです。

2004/08/27 Fri | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > 湯本香樹実

夢について

夢について
吉本 ばなな

おすすめ平均
夢の不思議
吉本ばななワールドの原点!
青の世界に出会った

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夜、久しぶりに吉本ばななの『夢について』という本を読み返しました。
見開きの右側が夢についての文章で、左側は原マスミという人のイラストっていう作り。
この装丁も、何だかいい感じなのですよ。

このヒトの夢の見方って何だか素敵なんだよねえ。

前も思ったけどまた今回も同じように感じてしまった。
(成長してないのかな?私)
私もこんな風に素敵に夢の内容を覚えていられたらいいのに。
また夢日記をつけ始めようかなぁとか考えたりしてました。

そして出版社が幻冬舎なのを発見してちょっと嬉しかった。
最近何となく好きなの。幻冬舎。

2003/01/08 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > よしもとばなな

冬になる前の雨

冬になる前の雨
矢崎 存美


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「彼を独占したかったら、砂時計に閉じこめる。」という帯に惹かれて買い。
思ったとおり、ちょっと怖い話を集めた短編集でした。
ホラーというには綺麗なんだけど、ゾクッとしちゃうような怖さが残る。
そして、とにかく設定が変わってる。
よくこんなにイロイロ考え付くなぁって思いながら読んでた。


設定が意外でちょっと怖い・・・私のツボにがっつり(笑) 。
どの話も、最後はどうなるんだろう?って思いながらガンガン読めちゃう。
中にはラストで『ん??』っていう展開の話もあったけど、それだって設定を楽しむだけでも読む価値あったかな、と。

2003/01/01 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > 矢崎存美

七つの怖い扉

七つの怖い扉
阿刀田 高 高橋 克彦 小池 真理子 乃南 アサ

おすすめ平均
粋を集めた作品集
誰にでもお薦めしやすいコワーい短編集
読み応え十分!
有名作家が腕を奮った一冊
お得♪

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この本は、7人の作家が一編ずつ書いている短編集。
阿刀田高、小池真理子、鈴木光司、高橋克彦、乃南アサ、宮部みゆき、夢枕獏の7人。

私は怖い話がけっこう好き。
映像は苦手なんだけど、本なら平気。
想像力がないのかも(笑)。
でも霊だとか猟奇殺人みたいなものはあまり好きじゃなくて、日常の中の恐怖とか、心理的に怖いっていうのを読むのが好きなんだ。

この短編集は、私の好きではない方の話が多かったな。
霊だとか、殺した人がのりうつるみたいな内容が多かったよ。

乃南アサの「夕がすみ」という話が一番よかったかなって思う。
日常の中の怖い話で、寒くなるような怖さ。

鈴木光司の話は「リング」の続きにあたる話。
「リング」を読んでからもう随分たっているし、あまり面白く感じなかった。
リング未読の人にとってもそれほど楽しめる内容ではないかもって思ったよ。

短編集だからダーッと読めちゃうけど、読まなくてもいいかなぁという1冊でした。

2001/01/01 Mon | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > アンソロジー