感想文

本とか映画とかゲームとか。ネタバレはしないようにしています。

ビビを見た!

ビビを見た! (fukkan.com)

大海 赫
ブッキング
単行本

またまた大海赫さんの作品を読んだ。

主人公は、生まれつき目の見えない「ホタル」という男の子。ある日、いきなり「目を見えるようにしてやろう」という声がして、本当に目が見えるようになった。ただし、限定7時間。それなら出来るだけたくさんの物を見ておきたいと願うホタルなのだけれど、ホタルの目が見えると同時に、今まで目が見えていた人の目は見えなくなっていたのだった。おまけに何か得体の知れない敵が攻めてきているという…。

他の大海作品同様、強い印象が残る本。『けころす(蹴殺す)』なんて単語が平気で出てくるし、やっぱり怖さはあるのだけれど、この作品は怖いだけじゃなかった。最後は何だか切なくなって泣きそうになった。子どもには強烈すぎる内容かもしれないけど、きっと何か感じると思うからいつかは読ませたいなあと思った。

2008/01/29 Tue | 本 > 児童書

メキメキえんぴつ

メキメキえんぴつ (fukkan.com)

大海 赫
ブッキング
単行本

大海 赫さんの本は本当に怖いな!

「メキメキえんぴつ」「大きく なったら、 なにに なる?」「アップルパイの つくりかた」「トーセンボー」「あなたの えらさは なんポッチ?」の5つのお話が収められている短篇集。

難しい漢字は使われていないし、ふりがなも振ってあるし、分かち書きもされているくらいだから小学校低学年の子でも読めると思う。だけどこれを実際に小学校低学年で読んだら怖くて夜も眠れないだろうな〜。特に「大きく なったら、 なにに なる?」「トーセンボー」のラストの恐ろしさといったら!

教訓や風刺の要素もあるんだけど、ちびっこ読者を突き放すような展開でホラー要素全開。シンプルなだけに強烈な恐怖感がある。でも面白い。試しに読んでみて欲しいなあ。きっとクセになると思う。

2008/01/20 Sun | 本 > 児童書

カツラ美容室別室

カツラ美容室別室

山崎 ナオコーラ
河出書房新社
単行本

『人のセックスを笑うな』で話題になっていたので、こっちを読んでみたのだけど……面白くなかった。地の文ではちょっといいなあと思う表現がいくつかあったものの、会話の文は何だかぴんと来なくてずっと落ち着かないまま最後まで行ってしまった。

特別な事件が起こるわけでもないし、登場人物に感情移入もしなかったし、切なさもそれほどではなかったし、余韻もない。日常を描いた作品が嫌いなわけでも途中で飽きちゃったとかでもないんだけど、ただ読まされただけって感じしか残らなかったな。読みながら気になっていたちぐはぐ感も、ついに解消されないまま。

ストーリーが進んでも、登場人物の魅力や性格がいまいち伝わってこなかった。つながっていかないんだよね。一貫性がない感じで、一体どのような人なのかが理解できなかった。どの人も。

友情がテーマなのかなとは思うけど…うーんよくわからない作品。逆に他の作品を読んでみたくなったよ。

2008/01/18 Fri | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > 山崎ナオコーラ

不思議を売る男

不思議を売る男

ジェラルディン マコーリアン Geraldine McCaughrean 金原 瑞人 佐竹 美保
偕成社
単行本

5年生の女の子エイルサは、ある日図書館で、MCCという男と出会う。MCCはエイルサの母が経営する古道具屋さんで住み込みで働くことになるのだが、お客さんが来るたび、商品にまつわる物語を語って聞かせるようになる。

この物語が面白いのだ。童話のようなテイストなのだけれど、切ないものもあれば怖いものもある。お客さんたちが話を聞き終えると商品に夢中になってしまうのも納得。どれも本当に引き込まれて読んでしまった。

もちろん、外側の物語(エイルサたちの世界)も面白い。本の世界からやって来たとおぼしきMCCについて、最後に意外な展開があって驚かされたし、その後はどんな風になったのかも気になって仕方ない。読み終えた後も余韻に浸っている時間が長かった気がする。物語の中に物語がある分、何冊も読み終えたような満足感があった。これは好きだなあ。図書館で借りたんだけど、自分で持っていたいと思える1冊。

2008/01/15 Tue | 本 > 児童書

お部屋も心もすっきりする 持たない暮らし

お部屋も心もすっきりする 持たない暮らし

金子 由紀子
アスペクト
単行本(ソフトカバー)

こういう本って『そこまでは出来ないよ〜』っていうほど極端なことが書いてあることが多いような気がするのだけど、この本は割と気楽に始められそうなところが良かった。
小さなことを2週間続けて習慣にしていくやり方だとか、2週間に一度実行したいプロジェクトの例などが参考になった。

読んだだけではあるものの、持たない暮らしを目指す上での心がまえが身についた感じ。欲張らずに、ちょっとずつ。
今年の目標は『持たない暮らし』なので、時々読み返しつつ頑張りたいな。

2008/01/12 Sat | 本 > 趣味・実用 > その他

非常階段―コーネル・ウールリッチ傑作短篇集〈別巻〉

非常階段―コーネル・ウールリッチ傑作短篇集〈別巻〉

コーネル ウールリッチ Cornell Woolrich 稲葉 明雄
白亜書房
単行本
コーネル・ウールリッチの短篇集。このひとの作品は初めて読んだ。『私が死んだ夜』『セントルイス・ブルース』『さらば、ニューヨーク』『天使の顔』『ぎろちん』『眼』『非常階段』の全7篇。

どれも、先が気になりすぎて早く読みたい気持ちが先走ってしまうような展開。ハラハラドキドキ。アガサ・クリスティーの短篇集『リスタデール卿の謎』に入っている『ナイチンゲール荘』を読んでた時の気持ちを思い出した。

『私が死んだ夜』:苦しいようなドキドキ感
『セントルイス・ブルース』:読み終えた後の余韻がすごい
『さらば、ニューヨーク』:成功したのに消えない絶望感。これも余韻が残ったなあ
『天使の顔』:これは他のに比べると印象が薄かった
『ぎろちん』:ラストはそう来たかと思った
『眼』:こういう、不利な条件で闘うような設定の話ってけっこう好き
『非常階段』:殺人事件を目撃してしまった少年のお話。もどかしいやらハラハラするやらで一気に読んだ

2008/01/11 Fri | 本 > 海外の小説 > コーネル・ウールリッチ

いつか、ふたりは二匹 (ミステリーランド)


主人公は、ネコの体に乗り移れる少年。
こんな設定からスタートしたものだから、最初から西澤保彦っぽさ全開だなあとか思ってちょっとニヤニヤした気分で読んでました。

この本は『かつて子どもだったあなたと少年少女のための―』が謳い文句の講談社「ミステリーランド」シリーズの1冊。
児童書っぽい装丁に、大きめの文字。さくさく読める。

ネコに乗り移れるというと何だかほんわかした物語のようだけど、そうでもない。起こる事件はいかにも現代っぽい嫌な感じ。やっぱり『児童書』の一言で片付けてしまうとちょっと違うな。

主人公の少年はネコの体を借りて事件を調べることにするのだけれど、これがいい。人が調べるのとは違うスリルやドキドキ感があって新鮮だった。けっこう夢中で読んでしまった。飽きさせない展開に、難しくないけど納得の謎解き。面白かった。でも後半のあれは切ないよー!

2008/01/10 Thu | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 西澤保彦