静かな街で、9歳の女の子が残忍なやり方で殺される事件が発生。
やがて犯人として「補導」されたのは、13歳の少年でした。
この事件は、毎日のようにニュースやワイドショーで取り上げられます。
少年法についての論議が巻き起こり、動機についての推測があちこちに書かれる。
全国の注目を集めるような大事件です。
さて、少年には、一つ年上の兄「ジャガ」がいます。
事件が起こった日から、ジャガの生活も一変してしまいました。
両親は離婚せざるを得なくなり、引越しも余儀なくされてしまう。
しばらくは、記者の取材やいたずら電話が絶えることはない・・・。
それでもジャガは、傷つきながらも負けませんでした。
弟の心の内を探ろうと、奔走し始めるのです。
物語は、兄である「ジャガ」と新聞記者「山崎」、2人の視点から描かれています。
しかし、ストーリーが進みドキドキする展開になるにつれ、「ジャガ」からの視点が増えてきました。
子ども目線だからなのか、ドキドキ感も倍増です。
そんな風だから、どんどん読み進めてしまいました。
とても面白い本だったけれど、難しいテーマが隠されているんだろうなとも思います。
まず、殺し方の残忍さと犯人の年齢の低さ。
数年前の事件を思い出させられました。
間違いなく筆者もあの事件を意識して書いているんだろうなと思います。
タイトルは「うつくしい子ども」ですが。
「うつくしい」って何だろうって思った。
顔だけ美しくたって、中身はそうじゃないこともある。
一見すべてが美しいように思えても、見えないところで歪んでいることもあるでしょう。
その歪んだ部分こそが本人にとっては「うつくしい」かもしれないし。
大人の価値観で「うつくしさ」を求めたら、個性を潰してしまうってこともあり得る。
かと言って「個性」=「犯罪」になっても困るしなぁ。
・・・といった感じで、しばらくグルグルと考えさせられる作品でした。