感想文

本とか映画とかゲームとか。ネタバレはしないようにしています。

天国までの百マイル

天国までの百マイル
浅田 次郎

おすすめ平均
マリに泣かせられた。
中学生でも
ふと我に返って考えさせられてた
全ての人に読んで欲しい本
電車の中など人の目があるところでは読まないようにしましょう!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

主人公は、四十歳の「城所安男」。
一時は社長として贅沢な暮らしをしていたものの、バブル崩壊で倒産。
自己破産、離婚と続き、別れた妻への仕送りは養育費含めて月々30万円。
どうにもならない日々を送っています。

そんな時、母が倒れて入院し、このままでは命が危ないことが判明するのです。
日本一の腕を持つという教授も匙を投げるような病状。
そんな中、千葉にあるサン・マルコ病院ならもしかして・・・ということに。
しかし、兄弟たちは、金は出すから勝手にやれといずれも薄情。
そして安男は、誰にも頼らず一人で母を病院に運ぶことを決意するのです。

母とのやりとりや、道中での優しい人たちにグッと来てしまいます。
胸が詰まるような気持ちで読み進め、ティッシュが必要になる場面もちらほら。

サン・マルコ病院の人たちはみんな魅力的で、こんな病院があったらいいなあとつくづく思ったよ。

私事ですが、ちょうど1年前、彼のお母さんが倒れました。
ICUに入り、一度はとても危険な状態に。
そして、治療費って、本当に高いんだなあと思った。
そういうことがあったので、何だか主人公に親近感を持っちゃいました。

安男の兄弟たちは、お金や地位があるから母親のことを忘れちゃっているんです。
貧乏だった子ども時代や、母の苦労を顧みないのです。
安男はそれを間違っていると思うけれど、母はそうじゃないと言う。
母の思いと子の思い。
読んでいて、どちらも理解できるような気がしました。

お金があれば大抵のことはできる。
なければ、お金で買えない大事なものを感じられる。
どちらが幸せなのか?
読み終わった後も、しばらくボーっと考えちゃいました。

それともうひとつ。
「マリちゃん」という女性が登場するんですが、彼女もとても魅力的でした。
でも、すごく切なかったです。

2004/09/26 Sun | 本 > 日本の小説・エッセイ > あ行 > 浅田次郎