「西の魔女が死んだ」がとてもよかったので、続けて読んだよ。
主人公の蓉子が、亡くなったおばあちゃんの古ーい日本家屋で、同年代の女性3人と共同生活を始めるの。
その生活には、蓉子が小さい頃から一緒にいる「りかさん」というお人形も一緒。
しかも、今は眠っているけど「りかさん」は、話をするらしい。
最初はとまどった同居人たちだったけど、次第に「りかさん」がいることが自然なことになってくるんだ。
蓉子は食物や草木で糸を染めて過ごし、紀久は機を織り、与希子はキリムという織物に挑戦、マーガレットは鍼灸の勉強を続けている。
そんな4人の日常には当然「染め」のことや「織物」の話が多く出てくる。
織物にまつわる異国の話なんかも入ってくるから、少し難しく感じる部分もあったよ。
でもね、これは「西の魔女が死んだ」でも思ったことなんだけれど、その日々の生活の様子がとても気持ちよさそうなの。
網戸のない家で虫も多いけどそのぶん自然な風が吹き込んできたり、紀久の機の規則的な音を聞きながら読書をしたり、庭の野草を調理して食卓で味わったり。
かといって、のどかな生活だけを描いているだけではないんだ。
問題も起こるし、悩んだりもする。
「りかさん」を通して4人には意外なつながりがあることが判明していくし、4人それぞれの「流れ」のようなものにも変化が起こってくる。
後半には事件も起こるしね。
途中で出てくる能面の話は少し複雑で「のどか」とは言えないエピソードだし、「りかさん」というのは人形だけど話をする設定ということもあって、”誰にでもオススメ”って感じの本ではないかなぁ。
私の彼なんかは読みたがらない気がする。
ただ、私はけっこう好きなんだ、この本。
手作りのものにも惹かれるし、毎日の生活の様子も何だか好きなの。
時間がゆっくり流れてるような、せかせかしてない感じが好みなのかな。
それとも、この作者の文体が私に合ってるのかな?
恩田陸サンと並んで、いま気になっている筆者の一人です。