感想文

本とか映画とかゲームとか。ネタバレはしないようにしています。

いつか、ふたりは二匹 (ミステリーランド)


主人公は、ネコの体に乗り移れる少年。
こんな設定からスタートしたものだから、最初から西澤保彦っぽさ全開だなあとか思ってちょっとニヤニヤした気分で読んでました。

この本は『かつて子どもだったあなたと少年少女のための―』が謳い文句の講談社「ミステリーランド」シリーズの1冊。
児童書っぽい装丁に、大きめの文字。さくさく読める。

ネコに乗り移れるというと何だかほんわかした物語のようだけど、そうでもない。起こる事件はいかにも現代っぽい嫌な感じ。やっぱり『児童書』の一言で片付けてしまうとちょっと違うな。

主人公の少年はネコの体を借りて事件を調べることにするのだけれど、これがいい。人が調べるのとは違うスリルやドキドキ感があって新鮮だった。けっこう夢中で読んでしまった。飽きさせない展開に、難しくないけど納得の謎解き。面白かった。でも後半のあれは切ないよー!

2008/01/10 Thu | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 西澤保彦

神のロジック 人間(ひと)のマジック

神のロジック 人間(ひと)のマジック

西澤 保彦
文藝春秋
文庫

裏表紙の説明さえ見ずに読み始めたので、最初はジャンルがわからず『学園物?推理物?ホラー?ミステリー??』などと思いながら読んでました。

ある日突然、家族と離され海外の学校へと連れて来られてしまった11歳のマモル。理由はわからないままだが、今では学校生活にも寮生活にも馴染んでいる。
しかしそんな日々に、変化が訪れ…。

最初は、いつもの西澤さんらしい突飛さがあまり感じられないなあと思っていたのだけれど、後半でそれはやってきた。『そうだったのかー!』という展開、驚かされました。
普通じゃない設定が大丈夫な人ならすごく楽しめると思います。面白かった。

ジャンルは、学園物であり推理物でありホラーでもありミステリーでもあるという感じでした。

2007/05/17 Thu | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 西澤保彦

エンジェル・エンジェル・エンジェル

エンジェル・エンジェル・エンジェル
4101253358梨木 香歩

おすすめ平均
starsなんて優しい筆致で厳しいことを書くのだろう
stars神様の気持ちとは
stars不思議な2つの世界
stars梨木さんは文庫本がよく似合う・・・
stars中編もスペシャルな作家の中編代表作品。

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文庫の厚さは割と薄め、字も大きめなので、読む前は児童書風なのかと思ってました。
でも、梨木香歩ワールドな雰囲気は確かに感じたのだけれど、私が今までに読んだ作品とは少し違ってました。

主人公は、進学校に通うコウコと、ほとんど寝たきりで過ごす「ばあちゃん」。
コウコは「ばあちゃん」のトイレを手助けすることになるのですが、あるきっかけで不思議な現象が起きるようになります。

章ごとに、昔と今とを行き来しながら展開していくストーリー。
ばあちゃんが少女の頃のエピソードと、そこから派生しているであろうセリフ、現代でコウコと交わす言葉でのリンク。
これってきっと必然だったんだ。赦されるってことが必要だったんじゃないかな。
「本当のこと」はお互いにわからないままだったけれど、それで良かったんだろうなと思った。

テーマは思いのほか重いです。
だけど難解ではなく、自然とそこに思いを馳せることができました。
自分が許せない時、自己嫌悪に陥った時、この本を読むと救われる気がするんじゃないかなあって思いました。

2005/07/14 Thu | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 梨木香歩

電車男

電車男

中野 独人
新潮社
単行本(ソフトカバー)

読んじゃいました(笑)。
彼が会社の部長から借りてきたの。
部長も読むのか・・・。

前にお友達のリンクから飛んで少し読んだのだけど、あまりに量が多そうだったので途中で挫折。
やっぱりPCに張り付いて読むより、本の方がラクかも。
本はだいぶ削除されてるらしいから、それもあるのかな?

感動とかというより、書き込んでる人たちのやり取りというか独特の反応が面白かった。
途中何度かププッと笑っちゃいました。

実話かフィクションかはあまり気にならなかったなぁ。
想像してたより楽しんで読めました。

2004/12/10 Fri | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行

ナイフが町に降ってくる

ナイフが町に降ってくる
西澤 保彦

おすすめ平均
ナイフが町に降ってくる

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この人の作品を読むのは3度目なんですが、本当に奇抜な設定が多いなぁと思います。
今回は、何か疑問を持つと解決するまで時間が止まってしまうという「体質」を持った青年「末統一郎」が登場。
そして彼の巻き添えになってしまったのが女子高生の「真奈」です。
統一郎は、歩いていたら目の前にいきなりナイフの刺さった死体が現れたのでビックリ。
疑問を感じて時間を止めてしまいます。

疑問に納得できる答えを出さない時間は動かないため、統一郎と真奈は協力して謎を解明することに。
ところが次から次へとナイフの刺さった人たちが・・・。


2人があれこれ推理しながら答えを探していくんだけど、この会話が面白かったな。
電車で顔がニヤッとなっちゃったりして。

トリックは、半分は想像が当たってました。
でも残り半分は予想外だったなぁ。

今のところ「七回死んだ男」が一番好きだけど、これもテンポが良いし面白いですよー。
私もそうなんですが、ちょっと変わった設定が好きな方にはすごくオススメ。

2004/11/27 Sat | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 西澤保彦

彼女が死んだ夜

彼女が死んだ夜
西澤 保彦

おすすめ平均
泣ける

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大学生の「ハコちゃん」は、厳しい両親のおかげで門限は六時。
その両親を苦労して説得し、留学という名目でアメリカへの旅行を決めたのだけど・・・。

出発前夜、両親が急なお通夜で出かけている隙に、ハコちゃんは壮行会へ出席。
23時過ぎ、家に帰ってみるとそこには見知らぬ女性の死体があったのでした。
これが事件の始まり。

困り果てたハコちゃんは同じ大学の「ガンタ」を呼び出し、とんでもない提案をするのです。
そしていつの間にか「ボアン先輩」や「タック」も巻き込まれて・・・というような展開。

犯人は誰なのか、そして殺されていたのは誰なのか?
タックたちは、それぞれ思いつくまま推理を展開していきます。

だんだんと真相に近付いていくんだけど、先が気になること気になること。
『どうなるの?どういうこと?』とか思いながら無心に読んでしまいました。

「そうだったのか!」に続く「そうだったのか!」な展開ですごく面白かった。
でも、最後はちょっとやりきれないっていう気持ちが残ったかなぁ。

2004/11/10 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 西澤保彦

七回死んだ男

七回死んだ男
西澤 保彦

おすすめ平均
うほほっ?!おいらの大好きな作家だっ
テンポ良いミステリー
夢中になれる傑作
まったく新しいリプレイもの
SFと本格推理の融合

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主人公の久太郎は、不定期で時間の反復落とし穴に落ちてしまうという体質の持ち主です。
「反復落とし穴」とは久太郎が経験から命名したもので、ある1日を8回多く繰り返してしまう現象。
どうしてなのか、いつ起こるのかはまったく不明。
一度起こるとあと8周は確実に同じ日を繰り返し、主人公が故意に手を加えない限りは起こる出来事もまったく同じ。
こんな不思議な体質の持ち主が、殺人事件に出くわしてしまうのです。
しかも、殺されたのは自分の祖父。
久太郎は、何とかこれを回避しようとあれこれ手を尽くし始めます。

それでも何度も殺されてしまうお祖父さん。
久太郎が回避すべき行動を取るたびに、登場人物たちの行動も困った変化を起こしてしまう・・・。

久太郎が戸惑う様子や、その都度変化する登場人物の行動が面白い。
同じ1日なのに異なった結果になるという展開も好き。
謎解き感を出しつつ最後にはちゃんと辻褄も合ったし、あり得ない設定でも読んでいて無理を感じませんでした。


この人の作品を読んだのは初めてだったんですが、すごく好きになりそうな気がする。
早く他のを入手したいな。

2004/09/03 Fri | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 西澤保彦

西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ
梨木 香歩

おすすめ平均
やさしさに包まれる
私の心に一生残る本です
愛・自然
心の避難所
何かを教えてもらった

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とっても素敵な本を読んだよ。

主人公は”まい”という中学生の女の子。
学校に行きたくなくなってしまっているの。
ママの勧めで、まいは大好きなおばあちゃん(西の魔女)と1ヶ月間、生活を共にすることになる。
その1ヶ月間の様子が描かれてるんだけど、まいはそこでおばあちゃんから魔女修行の手ほどきを受ける。
魔女といっても魔術や呪術ではなくって、自分のことは自分でやるということや、規則正しい生活をするということ、自分の幸せは自分で決めるといったことが魔女にとってすごく大切だってことを教わるの。

おばあちゃんとジャムを手作りしたりベッドメイキングを教わったり、近くの森を散歩したり、花の名前を知ったり。
読んでいると、初夏の爽やかな感じとか「まい」がおばあちゃんのことを大好きな気持ちが伝わってくるんだ。

そして、、、。
タイトル通りおばあちゃんは死んでしまうし、帯に書いてある通り『最後の3行は涙が止まらない』。
だけど、死んでしまったことが悲しくて泣いたわけではなかったんだ。
感動というか、胸にこみあげるというか。
ネタバレしないように書くのって難しいけど、切なさと暖かさと優しさに胸がいっぱいで、涙が流れたという感じです。

小説を読んでグシュグシュと泣いたのはかなり久しぶり。
でも読後感はすごく良いです。
読んでみて!!

2002/01/01 Tue | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 梨木香歩

からくりからくさ

からくりからくさ
梨木 香歩

おすすめ平均
今までにない魅力
私の宝モノの本です
人生最高の1冊だと思う。
からく「りか」らくさ?
癒し?

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「西の魔女が死んだ」がとてもよかったので、続けて読んだよ。

主人公の蓉子が、亡くなったおばあちゃんの古ーい日本家屋で、同年代の女性3人と共同生活を始めるの。
その生活には、蓉子が小さい頃から一緒にいる「りかさん」というお人形も一緒。
しかも、今は眠っているけど「りかさん」は、話をするらしい。
最初はとまどった同居人たちだったけど、次第に「りかさん」がいることが自然なことになってくるんだ。
蓉子は食物や草木で糸を染めて過ごし、紀久は機を織り、与希子はキリムという織物に挑戦、マーガレットは鍼灸の勉強を続けている。
そんな4人の日常には当然「染め」のことや「織物」の話が多く出てくる。
織物にまつわる異国の話なんかも入ってくるから、少し難しく感じる部分もあったよ。

でもね、これは「西の魔女が死んだ」でも思ったことなんだけれど、その日々の生活の様子がとても気持ちよさそうなの。
網戸のない家で虫も多いけどそのぶん自然な風が吹き込んできたり、紀久の機の規則的な音を聞きながら読書をしたり、庭の野草を調理して食卓で味わったり。

かといって、のどかな生活だけを描いているだけではないんだ。
問題も起こるし、悩んだりもする。
「りかさん」を通して4人には意外なつながりがあることが判明していくし、4人それぞれの「流れ」のようなものにも変化が起こってくる。
後半には事件も起こるしね。

途中で出てくる能面の話は少し複雑で「のどか」とは言えないエピソードだし、「りかさん」というのは人形だけど話をする設定ということもあって、”誰にでもオススメ”って感じの本ではないかなぁ。
私の彼なんかは読みたがらない気がする。

ただ、私はけっこう好きなんだ、この本。
手作りのものにも惹かれるし、毎日の生活の様子も何だか好きなの。
時間がゆっくり流れてるような、せかせかしてない感じが好みなのかな。
それとも、この作者の文体が私に合ってるのかな?
恩田陸サンと並んで、いま気になっている筆者の一人です。

2002/01/01 Tue | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 梨木香歩

水の中のふたつの月

水の中のふたつの月
乃南 アサ

おすすめ平均
正にミステリーと呼ぶにふさわしい作品
オカルト好きにはちょっとおすすめ?
小学生時代の共通の秘密とは…
特異な性癖の理由

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亜理子(OL)はある日、幼なじみから久しぶりに電話をもらう。
12歳に転校してから連絡も取っていない相手。
今ごろ何だろうと不思議に思いつつも、仲良し3人組で再会を果たすんだ。

3人には当時、固く約束していたことがあるの。
その「誓い」が大きなポイントになってる。
現在と、当時の様子を行き来しながら話は進むんだ。

3人それぞれが持っている「癖」にも意味があることや、「乾くん」という男の子がカギを握っているってことが徐々にわかってくる。
恋人の「哲士」も段々ストーリーに深くからんでくるよ。

そして、怖ーいラスト。
当時の話も怖いけど、現在の話の展開も怖かったな。
で、エピローグも怖い。
どっちかと言えば私には苦手な種類の「怖さ」なんだけど、
けっこう面白い本なのではないかと思うよ。

すごく余談なんだけど、何年も連絡が途絶えていたような相手から、突然連絡がきたらどんな気持ちがしますか?
私は22歳頃、中学1年生の時のクラスメイトから電話をもらったことがあって、「久しぶり〜?元気ィ〜?」なんて懐かしそうに言うもんだから、てっきりクラス会でもあるのかなーって思ったのよ。
ちょっと嬉しかったのに、選挙があるから某K党をヨロシクという内容でしたわ。がくり。

2002/01/01 Tue | 本 > 日本の小説・エッセイ > な行 > 乃南アサ