白い犬とワルツを
白い犬とワルツを | |
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帯には「痛いほど胸をゆさぶる大人の童話」と書いてある。
これに惹かれて購入。
サムというおじいさんが主人公。
愛してやまなかった妻が死んでしまって、悲しみにくれている。
この悲しみがすごく伝わってきて、まず泣けます。
自分と彼の老後のイメージと勝手にシンクロさせてしまって更に泣きました。
先に死ぬのも死なれるのも悲しいなって思ってたけど、これを読んだら、漠然と想像していた悲しさがリアルになってしまったという感じ。
さて、妻の死後、一匹の真っ白な犬が現れます。
サムは最初こそこの犬を追い払おうとしていたけれど、徐々に「白い犬」「俺の犬」と呼び、大切な存在になっていきます。
でも、この犬は子供たちには見えないの。
この「白い犬」が物語の重要なカギ。
サムの子供たちの間では”パパの幻覚”だとか”犬の幽霊”じゃないかといった議論も交わされます。
後半、子供たちにも白い犬が見えた。
とっても父親思いな子供たちだから、見ることができたのかな?
妻がいなくてもこの白い犬がいたから、サムはちゃんと生きていくことができたのかも。
でも、物語のそこかしこに出てくる妻の思い出が切なくて涙が出る。
ちょっとしたきっかけで妻を思い出し、夢の中では元気な妻に会う。
そういう描写を読むたびに胸がキュゥってなった。
50数年も結婚生活を共にして、ずっと一緒に過ごして、そういう人がいなくなった後はどれほど寂しいんだろう。
愛してる人を亡くすのは考えられないくらい苦しいんだよね、きっと。
でもそれだけの長い時間を愛する人と過ごせたっていうのは
間違いなくシアワセだろうし、苦しい思いをするからって愛さないではいられないんだよね。
読んでからしばらく、そんなことを考えていたよ。