感想文

本とか映画とかゲームとか。ネタバレはしないようにしています。

陰日向に咲く

陰日向に咲く

劇団ひとり
幻冬舎
単行本

すごーく面白いです。
お子のお世話の合間合間で一気に読み終えてしまった。
やるな〜ひとり!泣いた所もあったもん。

短編集なんだけど、単なる短編の集まりとは言い切れないコワザが効いてる。
『おっ』って思うような意外なオチだし、つながり方もニクイのよ。
読み終えた夜は、彼と絶賛し合ってました。彼は比喩が秀逸だよねーと言ってたな。

久々に読んだ小説がこんなに面白くてシアワセ。
帯で恩田陸さんが書いているように、あと二冊は書いてもらわなきゃ。

2006/04/13 Thu | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 劇団ひとり

つれづれノート

つれづれノート

銀色 夏生
角川書店
文庫

銀色さんの本は、高校の時に詩集を1冊読んだきり。
当時は男の人だと思ってた。

つれづれノート、好きだと言っている人が多いから気にはなっていたのです。
ばななさんの日記にはまったのをきっかけに、ついに購入。

最初はちょっと読みにくいかなーと思ったけれど、途中からとっても楽しくなってきた。
笑っちゃう場面があったり、食べ物のことがたくさん書いてあるのが嬉しい。

イラストはヘタうまという感じ。
わあ上手!という風ではないのだけど、見てちゃんとそれと伝わる絵。

時々抽象的で上手く理解できない表現があったりして、詩人の人ってすごいなと思った。
頭の中にいろいろなものがあるんだろうな。少し羨ましい気持ち。
日々の生活も、どことなく独特で魅力的。2も読もう。

2006/04/12 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 銀色夏生

いちばん初めにあった海

いちばん初めにあった海
4043539010加納 朋子

おすすめ平均
starsこころ救われる物語
starsふたりの主人公
stars心の彷徨い・・・海に漂う記憶
stars絆と魂の再生
starsふたりの女性の再生のものがたり

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2作品が収録されています。
ひとつめは、表題の「いちばん初めにあった海」。
読み始めた時、ちょっと『あれ?』と思いました。
何かモヤモヤするというか、すぐには入り込めなった。
前に読んだ「ななつのこ」みたいなホノボノ感がなかったからかな?
文章に親近感が湧かなかったのです。

でも、途中からはけっこう夢中で読んでました。
千波(主人公)が<YUKI>のことを思い出せるのか、本の謎、千波の過去。
それらが全部つながった時には、ちょっと感慨深い気分になりました。
本の裏の紹介には「感動のミステリー」と書いてあるんだけど、『謎が解けてスッキリ!』っていうよりは『あぁそうだったのね・・・』って感じ。わかりにくい?(笑)

そして2作品目。「化石の樹」です。
これは読んでいる途中で『あれっこの子ってもしかして・・・』ってなった。
上手いよなぁ。

両方とも、「ほのぼの」という雰囲気ではないかな。
でも読後感は悪くなかったです。
『何となくしみじみ』って気分になりました。

2005/05/18 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 加納朋子

青の炎

青の炎
貴志 祐介

おすすめ平均
もう一度、ニノの世界をみて!!
残るものは少なかった・・・
共感できる殺人者
大人から子供まで読ませたい作品
罪と罰の現在日本バージョン(;´Д`)ハァハァ

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「こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか」とかいうキャッチコピーがついていた気がします。
単行本が出た時に気になり、映画化でも文庫化でも気になり、友達のオススメにも入っていたので更に気になり・・・。
その割には、何だか読むのがもったいない気がして今まで未読だったのでした。

大事なものを守るため、完全犯罪を決行することにする「秀一」。
その一部始終が綴られていきます。
殺人をする側からの視点なので、緊迫感が漂っていて読んでいてもドキドキ。
上手くいくんだろうか、罪は暴かれないんだろうかと、結末が気になって気になって。
後半はページを繰る手がもどかしい!って感じでした。
読むまでは『殺人を決意する動機が切ないのかな』と想像していたんですが、それよりも、殺人をした後にわかる事実や展開が切なかった。
最後は何だか苦しいような気持ちになっちゃいました。

読み終わった後も、ラストの後はどうなったんだろうかなどと思いを馳せたりしてました。
紀子や家族、友人のことを考えるとまた切なくて。

貴志祐介の作品を読んだのはかなり久しぶりだったのだけど、期待に反せず面白かったです。

映画の方も観たくなったよ。
でも、「24時間テレビ」以来、二宮クンに好感持てなくなってるんだよなぁ。どうしよ。

2004/09/13 Mon | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 貴志祐介

蛇にピアス

蛇にピアス
金原 ひとみ

おすすめ平均
感想
評価不能・・・慎太郎に聞け!!
立ち読みレベルの本
後味非常に悪い。
蛇にピアスは読まなきゃソン!!

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芥川賞受賞で話題になっていたので。
というよりも、彼が読みたいと言って買ってあったので読みました。

主人公は「ルイ」。
クラブで出会った「アマ」のスプリットタンに惹かれ、自分もやってみようと思うようになります。
スプリットタンとは、蛇みたいに改造された舌のこと。
舌にピアスを開け、だんだんと大きなピアスに拡張していき、最後に先端部分を切って切り離すという作業で完成するらしいです。

ルイが舌にピアスを開け穴を拡張していくのにつれ、環境や考え方にも変化が起こってきます。

こういう世界もあるんだーという新鮮な感じはあったけれども、読んでいてのめり込むとか共感するとか感動するといったことはなかったなぁ。
『これが芥川賞なんだー。純文学???』というのが正直な感想。

もしかすると、同世代の人には共感される部分があるのかも。
文体は読みやすく、ページ数も少なめ。
1時間くらいで読めると思うので、気になっている方はどうぞと思います。

2004/09/12 Sun | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 金原ひとみ

花の下にて春死なむ

花の下にて春死なむ
北森 鴻

おすすめ平均
面白くて美味しい。
こんな店の常連になりたい
読んでて無性にビールが飲みたくなりました。
おふくろの味噌汁のようなミステリー
味のある連作短編集

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こういうタイプのお話は好き。
人も死ぬし謎も解くんだけど、あまり血生臭くないしドロドロもしていない。
最後には何となく切ない気持ちや温かい気持ちが残ります。
加納朋子と同じニオイを感じてちょっと嬉しくなりました。

6編の連作が収録されていますが、どの作品にも「香菜里屋」というお店が出てきます。
そこのマスターはとても優しくて丁寧な人で、そのうえ頭がすごくきれるんです。
カウンターの中でお客さんたちの話を聞いているだけなのに、頭の中では既に謎を解いてしまっていたり。
そういう設定も好みなんですが、出てくるお料理がまた美味しそうなのですよ。
マスターがその日に入った食材で一品作って出してくれる場面があって、それがいちいち美味しそうなの。
訳のわからない名前がついていたり知らないソース名だったりすれば想像力も大して働きませんが、ここに出てくるものは、わかりやすい説明で描かれているのですごくイメージが湧いちゃうんです。
あー食べたい(笑)。
頑張れば自分でも作れるかも?って思うようなのもあったので、いつかチャレンジしてみたいな。

度数の違うビールが4種類置いてあるというのも気になるんですよね。
このお店、実在してないのかな〜。絶対行きたい!

あ、そういえば、ところどころ少し読みにくい部分がありました。
セリフが続いて誰が言っているのかわかりにくかったり、表現がぴんと来なかったり。
最近あまり本を読んでなかったからかなー?

2004/08/02 Mon | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 北森鴻

世界の中心で、愛をさけぶ

世界の中心で、愛をさけぶ
片山 恭一

おすすめ平均
泣くためにある本ではなく、考えるためにある本
自己中心的でカン違いな恋を叫ぶ
驚愕の作品
つまんない
期待はずれ

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口調が不自然なのがどうも気になってしまいました。
最初に読んだ彼がそう言っていたから余計にかもしれないけれど。
特に女の子(アキ)の方。
いくら物語の時間設定が今より前(と言っても10年ちょっと)だからって、高校生の女の子が親しい人に「こういうの嫌だわ」とか「なぜかしら」とか「ええ」とかって話すかな?
学級委員をするくらいだから、『きちんとした子だよ』ってことなのでしょうか。
でも私だって学級委員やったことあるぞ。小学生の時だけど。

・・・とか文句を言いつつも、やっぱり泣きました。
(「秘密」ほどじゃないけど)
どうしても、大切な人がいなくなるという描写では『これが自分たちだったら』と当てはめて考えてしまうので。
今が一番シアワセだから失うのが怖いという気持ちもすごくわかるし。

後半のおじいちゃんの考え方が好き。
普段は「私よりも1日後で死んでね」と彼に言っているけれど、実際に私の方が先に死んでしまうとしたら、残った彼の気持ちを思うととても堪えられない。
いくら悲しくても、彼が悲しむくらいだったら自分が悲しい方がいいやって思う。
それが大切な人に対しての自然な気持ちなのかなーっと思いました。

この主人公だけじゃなく、みんな「世界の中心で」愛をさけんでるのだと思う。
他の人には興味のない死であっても、自分にはとても辛かったり悲しかったりする。
いつだって、自分にとっての世界の中心は大切な人と自分。
(”自己中心的”という悪い意味ではなく。)
世界の中心は自分の心の中にあるとも言えるし、自分がいるこの地が中心だとも言える。
勝手な解釈かもしれないけれど、読んでみてそんな風に感じました。

売れまくってるので気になって読んだわけなのですが、読みやすいから売れてるのかな?という印象を受けました。
大感動するほどではないというか。
朔太郎が大人になってからの描写が最後に少しあるんだけど、そこが妙にアッサリしてるように感じたなあ。あれだったらむしろなくて良かった場面だと思う。

余談ですが、中に「大木」という友人が出てきます。
私の知っている「大木」は「ビビる大木」しかいないので、どうもあの人をイメージしながら読んでしまいました(笑)。

それとこの本、「世界の中心で愛を叫んだけもの」という海外の小説にタイトルが酷似してるけど、何か影響を受けたのかな?

2004/06/30 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 片山恭一

やんごとなき姫君たちのトイレ

やんごとなき姫君たちのトイレ
桐生 操

おすすめ平均
教養の安売り行為
本当に面白いです(>_<)
お姫様だってトイレに行く

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中世のヨーロッパや江戸時代のトイレ事情がいろいろ紹介されてます。
殿様や姫君、王様や貴族、それに庶民。
どんなトイレがどのように使われていたかなんて、すごく興味ある!
まったく知らないし、楽しんで読んだよー。
ピロートークで彼に語り聞かせたりしてました(笑)。

トイレだけで1冊完成してるわけじゃなくって、そこから派生してお風呂や香水なんかのことも書いてあるよ。

トイレの重要度が高い私としては、『今はトイレがたくさんあるし恵まれてるのね〜』と思わずにはいられなかったです。

シリーズで”寝室”と”秘め事”ってのも出てるらしいのでそれも気になる。

ただねー、けっこう文が読みにくいんだよね。
事実を並べてる本だから仕方ないのかもしれないけど、スムーズに読めないっていうか。
うーん、うまく言えないんだけど。

2003/05/02 Fri | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 桐生操

ななつのこ

ななつのこ
加納 朋子

おすすめ平均
この不思議な感じはなんだろう。
不思議だなと思えるココロのあり方
普通の生活にも謎は満ちあふれている
良い本です
あなたもファンレターが出したくなる? それとも・・・

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ブックオフでかなり適当に選んで買ってみたんだけど、これが意外と面白かったの。

駒子という女の子が「ななつのこ」っていう短編集に出会うのね。
表紙も内容も好きになった駒子は、作者にファンレターを出すの。
駒子の町の身近な謎を書き添えて。
そうしたら、作者から返事が届いたのです。
驚いたことに、そこには謎の答えまで書いてあったんだ。

駒子が読んだ「ななつのこ」の内容を織り交ぜながら、駒子の日常と、身近な謎と、その答えが書かれていくの。
この本も短編集風に7つに分けられているんだけど、実際、話の内容はつながっているから連作集っていうことになるのかしら。

何となく、ほのぼととした感じなんだけど、ダラダラしているわけでもなくて、こういう生活もいいなあ、なんて思える内容。

表現が割とかっちりしてるというか、古風っぽい部分もあるんだけど、それが段々と心地よくなっていったよ。
難しくないんだけど綺麗な表現。
梨木香歩の本とちょっと通じるものがあるかも。

ほのぼのとした印象なんだけど、謎解きのような面があるから飽きないし、先を読むのが楽しみな状態で読み進められました。
こういう印象の本って初めてかも。好きです。

最近、少し本の好みが変わってきたかも。
っていうより、今までこういうのをあまり読んだことがなかったんだな。
ホラーとかミステリーよりも、こういうのが好きなのかもしれない。

2003/01/01 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 加納朋子

魔法飛行

魔法飛行
加納 朋子

おすすめ平均
美麗
芸が細かいなと感心
現実とロマンティックの融合
加納先生のマジック

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「ななつのこ」の続編です。

駒子が小説のようなものを執筆することに。
日常の小さなことを書いているようで、それはたしかに「事件」で、ついつい興味を惹かれます。
3つの短編が連作になっていて、4つ目でググッとつながる。
探偵や刑事が出てくるわけでもないし、連続殺人事件を解決するってわけでもない。
キッカケは本当に些細な出来事なのに、その展開がすごく気になっちゃうの。

「ワクワクでほのぼのな推理小説」って言えば少しは伝わる?
それでいてちょっと切ないの。

面白いんだなあ。私やっぱりこの人好きだと思う。
また買って読んでみようっと。

2003/01/01 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 加納朋子