感想文

本とか映画とかゲームとか。ネタバレはしないようにしています。

秘密

秘密
東野 圭吾

おすすめ平均
2つの秘密
切ない物語
広末涼子主演「秘密」の原作
失くしたくない思いがここにある!
不覚!そして深く泣く

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映画化された時に気になっていたんだ。
文庫になってすぐに読みはじめたんだけど、その時は入り込めずに途中でやめちゃったの。
読んだ時期が悪かったかも、不安定だったし。

で、改めて読んでみたんだけど。
泣いた〜!
しゃくりあげるほど泣いちゃいました。
妻と娘がスキーバスの転落事故に巻き込まれてしまって、娘だけが一命を取り留めるの。
しばらくして意識を取り戻すのだけど、その意識が死んだ妻のものに変わってしまっていることがわかるんだ。
父であり夫でもある平吉は、その不思議な状況に途惑いつつも妻が死んではいないということを嬉しく思ったりもして。

でも生活をしていくうちに、お互いにいろいろと苦悩が出てくるの。
それがね、読んでいて胸がキューッって苦しくなるほど切ないんだ。
現実には起こらないような設定なんだけど、気持ちがすっごく伝わってくるからすごく感情移入しちゃったんだよね。
自分に子供がいたらもっと胸が締め付けられちゃったかもしれないな。
後半は涙、涙でした。
かなり泣いて一段落したあと、最後にまた泣いちゃう場面があったりするし。
それに加えて平吉のその後の生活を想像するとこれまた胸が苦しくなっちゃう。

最後の部分がない方が読後感はスッキリしてたかなぁとも思うけど、タイトルが「秘密」になるにはやっぱりああいう風に終わらないといけないのかしら。

読んだ後も平吉の気持ちを思ったり別の真相はないのかしらと考えたり、しばらく余韻に浸ってしまった本でした。

2003/04/11 Fri | 本 > 日本の小説・エッセイ > は行 > 東野圭吾

月の影 影の海(上・下)

月の影 影の海〈上〉十二国記
小野 不由美

おすすめ平均
陽子に感情移入する
痛快!
シリーズ中、『魔性の子』に続いて面白かったです
赤毛の少女の心の旅
おもしろい!!

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月の影 影の海〈下〉十二国記
小野 不由美



タイトルはマンガの「海の闇、月の影」とかぶって混乱してしまいますが。

雑誌でひたすら絶賛されていたので読んでみました。
架空の十二国の物語。
その雑誌で『東洋のファンタジー』と言っている人がいたけど、まさにそんな感じ。

架空の国だし、架空の動物がでてきたりするところから見ても間違いなくファンタジーではある。
だけど設定がすごく緻密。
どんだけ練りこんでから書けばこんな話ができるんだろう?って思うくらい。
こういう話を思いつく脳みそがステキ。

読み始めてすぐに引き込まれちゃって。
難しい言葉がでてきたり理解するのに戸惑う場面もあるんだけど、それでも面白く面白く読み進められます。

それと、表現がすごく多彩。
こんな日本語もあるんだって感心したり、きれいな表現だなーって感動したりする。

サブタイトル(?)に『十二国記』と謳っているだけあって、
これはシリーズものです。
この「月の影 影の海」を第一部だとすると、現在第七部まで刊行されてます。

私はいま第三部に突入したところなんだけど、相変わらず面白いし
表現の仕方も冴えっぱなしという感じ。
いい本見つけちゃったなー。嬉しいなー♪
んも〜、どんどん読みたい!

2003/02/13 Thu | 本 > 日本の小説・エッセイ > あ行 > 小野不由美

スプートニクの恋人

スプートニクの恋人
村上 春樹

おすすめ平均
「…選びようのないことなんです」
今回は、ワイン
不思議の国の恋愛小説
これまでの村上春樹とは違うラスト
物語をくぐり抜ける

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気になっていたら、彼が買ってきてくれましたー。
中学生の頃「ノルウェイの森」を読んでまったくわからなかったので、それ以来ずっと読まず嫌いだったのでした。
割と読みやすいというのは聞いていたけど、本当に、思ってたよりずっと読みやすかった。
比喩表現がすごーく多いけど、それが綺麗だったり意外だったり言い得て妙だったりするもんで読んでて楽しかったな。

展開も気になるからどんどん読めちゃった。
ラブ・ストーリーなんだろうけど、それだけではないような。
面白かったです。他のも読んでみたいな。

あ、音楽のことがたくさん出てくるけど、その辺は知識がないからピンと来なかったよ。
ちゃんと情景に合ってる音楽なのかもなー。
わかる人は読んでて思わずニヤリとしたりしてるんだろか。
ちょっと悔しい。

2003/02/01 Sat | 本 > 日本の小説・エッセイ > ま行 > 村上春樹

夢について

夢について
吉本 ばなな

おすすめ平均
夢の不思議
吉本ばななワールドの原点!
青の世界に出会った

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夜、久しぶりに吉本ばななの『夢について』という本を読み返しました。
見開きの右側が夢についての文章で、左側は原マスミという人のイラストっていう作り。
この装丁も、何だかいい感じなのですよ。

このヒトの夢の見方って何だか素敵なんだよねえ。

前も思ったけどまた今回も同じように感じてしまった。
(成長してないのかな?私)
私もこんな風に素敵に夢の内容を覚えていられたらいいのに。
また夢日記をつけ始めようかなぁとか考えたりしてました。

そして出版社が幻冬舎なのを発見してちょっと嬉しかった。
最近何となく好きなの。幻冬舎。

2003/01/08 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > よしもとばなな

砂の女

砂の女
安部 公房

おすすめ平均
徹底したリアリズム描写!
安倍公房の最高傑作!!
恐ろしい閉塞感
蟻地獄人間版
シュールレアリズムの真髄

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昆虫好きな男が新種の発見を目指して旅に出るんだけど、目的地は砂丘。
砂の中に沈んでいるような村に到着するんだけど、男は村の人間たちの陰謀で、砂でできた大きな穴の中に軟禁されてしまうの。
穴は大きくて、そこには家が一軒、女が一人。
何しろ砂だらけで家中ザラザラ、御飯もザラザラ。
砂は湿気を持っていて、毎日「砂かき」をしないと重みで屋根が落ちる程。
そこから脱出するために、男はいろいろと作戦を立てては決行してみるもののこれがなかなか上手くいかない。

ザラザラ感の描写がリアル。
想像して嫌〜な気分になりつつも、気になるストーリー展開なのでどんどん読んじゃいます。
昭和37年に刊行と書いてあるから割と古いのかなって思うけど、内容は新しいっていうか心理ホラーみたいな感じを受けたよ。
読んでて『怖〜い』って思った。
『火とか水も怖いけど、砂も怖いんだなぁ』って。

「生きるとは」「生活とは」みたいなテーマが含まれてるんだろうとは思うけど、あんまり深く考えずに楽しく読んじゃいましたー。

あと、『これは絶対に誤植だー』ってところを1ヶ所発見してしまったのでそれが気になって仕方ないのでした。

2003/01/05 Sun | 本 > 日本の小説・エッセイ > あ行 > 安部公房

ななつのこ

ななつのこ
加納 朋子

おすすめ平均
この不思議な感じはなんだろう。
不思議だなと思えるココロのあり方
普通の生活にも謎は満ちあふれている
良い本です
あなたもファンレターが出したくなる? それとも・・・

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ブックオフでかなり適当に選んで買ってみたんだけど、これが意外と面白かったの。

駒子という女の子が「ななつのこ」っていう短編集に出会うのね。
表紙も内容も好きになった駒子は、作者にファンレターを出すの。
駒子の町の身近な謎を書き添えて。
そうしたら、作者から返事が届いたのです。
驚いたことに、そこには謎の答えまで書いてあったんだ。

駒子が読んだ「ななつのこ」の内容を織り交ぜながら、駒子の日常と、身近な謎と、その答えが書かれていくの。
この本も短編集風に7つに分けられているんだけど、実際、話の内容はつながっているから連作集っていうことになるのかしら。

何となく、ほのぼととした感じなんだけど、ダラダラしているわけでもなくて、こういう生活もいいなあ、なんて思える内容。

表現が割とかっちりしてるというか、古風っぽい部分もあるんだけど、それが段々と心地よくなっていったよ。
難しくないんだけど綺麗な表現。
梨木香歩の本とちょっと通じるものがあるかも。

ほのぼのとした印象なんだけど、謎解きのような面があるから飽きないし、先を読むのが楽しみな状態で読み進められました。
こういう印象の本って初めてかも。好きです。

最近、少し本の好みが変わってきたかも。
っていうより、今までこういうのをあまり読んだことがなかったんだな。
ホラーとかミステリーよりも、こういうのが好きなのかもしれない。

2003/01/01 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 加納朋子

魔法飛行

魔法飛行
加納 朋子

おすすめ平均
美麗
芸が細かいなと感心
現実とロマンティックの融合
加納先生のマジック

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「ななつのこ」の続編です。

駒子が小説のようなものを執筆することに。
日常の小さなことを書いているようで、それはたしかに「事件」で、ついつい興味を惹かれます。
3つの短編が連作になっていて、4つ目でググッとつながる。
探偵や刑事が出てくるわけでもないし、連続殺人事件を解決するってわけでもない。
キッカケは本当に些細な出来事なのに、その展開がすごく気になっちゃうの。

「ワクワクでほのぼのな推理小説」って言えば少しは伝わる?
それでいてちょっと切ないの。

面白いんだなあ。私やっぱりこの人好きだと思う。
また買って読んでみようっと。

2003/01/01 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > か行 > 加納朋子

冬になる前の雨

冬になる前の雨
矢崎 存美


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「彼を独占したかったら、砂時計に閉じこめる。」という帯に惹かれて買い。
思ったとおり、ちょっと怖い話を集めた短編集でした。
ホラーというには綺麗なんだけど、ゾクッとしちゃうような怖さが残る。
そして、とにかく設定が変わってる。
よくこんなにイロイロ考え付くなぁって思いながら読んでた。


設定が意外でちょっと怖い・・・私のツボにがっつり(笑) 。
どの話も、最後はどうなるんだろう?って思いながらガンガン読めちゃう。
中にはラストで『ん??』っていう展開の話もあったけど、それだって設定を楽しむだけでも読む価値あったかな、と。

2003/01/01 Wed | 本 > 日本の小説・エッセイ > や行〜その他 > 矢崎存美

暗いところで待ち合わせ

暗いところで待ち合わせ
乙一

おすすめ平均
切なくて、優しいです!
イイ!!
そんなジャンルにわければいいのか?
白乙一
タイトルと装丁が・・・

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「乙一」なんて何だかヘンテコな名前ですけど。
最近話題になっているので読んでみました。
2002年最後に読んだ本です。

目が見えないミチルと、殺人者として追われているアキヒロの奇妙な共同生活のお話です。
普通の共同生活と違うのは、アキヒロがこっそり住みついてしまっているという所。
2人の心情の変化を追っていくのを楽しみながら読んでいたんだけれど、最後にはちょっと意外な展開もあったりして一気に読み終えちゃいました。

特に難しい表現もないし、設定も奇抜だけどわかりやすい。
それだけに何だかぐいっと引き込まれます。

他にはホラーを多く書いている人のようなんだけど、これはホラーではないし、読後感もけっこうよかったりしてなかなかオススメですよー。

2002/12/01 Sun | 本 > 日本の小説・エッセイ > あ行 > 乙一

お散歩ブック

お散歩ブック
杉浦 さやか

おすすめ平均
日常のささやかな幸せを再発見!
とにかく探した本です。
毎日散歩がしたくなる
散歩してみよう
everyday is a good day

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会社を辞めてから昼間外に出ることが多くて、『あ、お散歩ってのもいいねえ』なんて思って買った本。

忙しくしていると気付かないような小さな発見がいっぱい!
可愛らしいイラストのまわりにもこまごまとした情報が描いてあって、見ているだけでも楽しいし、ワクワクしてきます。

LOMOを買って以来、外をぷらーっと歩いたりするようになったけど、そんな一人歩きを更に楽しくできそうなアイデアが満載。

出不精の私も『お散歩いくぞーっ』って気になって、フットワーク軽くなっちゃうかも(笑)。
まずは近所から、あちこち歩いてみようかな。

2002/09/01 Sun | 本 > 日本の小説・エッセイ > さ行 > 杉浦さやか