不思議を売る男
5年生の女の子エイルサは、ある日図書館で、MCCという男と出会う。MCCはエイルサの母が経営する古道具屋さんで住み込みで働くことになるのだが、お客さんが来るたび、商品にまつわる物語を語って聞かせるようになる。
この物語が面白いのだ。童話のようなテイストなのだけれど、切ないものもあれば怖いものもある。お客さんたちが話を聞き終えると商品に夢中になってしまうのも納得。どれも本当に引き込まれて読んでしまった。
もちろん、外側の物語(エイルサたちの世界)も面白い。本の世界からやって来たとおぼしきMCCについて、最後に意外な展開があって驚かされたし、その後はどんな風になったのかも気になって仕方ない。読み終えた後も余韻に浸っている時間が長かった気がする。物語の中に物語がある分、何冊も読み終えたような満足感があった。これは好きだなあ。図書館で借りたんだけど、自分で持っていたいと思える1冊。